2016年9月28日水曜日

信頼口座という考え方


会社の電話に見知らぬ番号から電話がかかってきました。

(また、営業電話かな?)



と、一瞬思いました。どうやって見つけるのか、毎日のように色々な業種から
営業電話が掛かってきます。

融資の予定はないですか?

車の廃棄の予定はないですか?

インターネット広告を出しませんか?・・・




「はい、ツイン・ビーの田中です。」と気を持ち直して電話に出ると・・
「お久しぶりです。〇〇〇会社の内山(仮称)です。」と電話の先は、
前職でテナント仲介のお手伝いをさせていただいた貸主さんの会社の担当者さんでした。



当時、借主さんからのご要望を色々とご相談に乗ってくれ、会社へ稟議を通してくださった
大変お世話になった方です。



「田中さん、元気にやられてますか?」
「はい、おかげさまで。細々とですが、自分の好きな仕事なので楽しくやってます」
「内山さん、あの時はほんとお世話になりました。ところで、どうかされたのですか?」


「実は、田中さんに仲介してもらった例の物件なのですが、管理をお願いできないかと思って。」

詳しく話を聞くと、借主さんからのクレーム対応や消防点検などの法定点検、修繕手配
などを行う部門が会社になくて、内山さん自身が担当せざるを得なくなっていて大変なのだそう。


「会社から管理を外部に任せてもいいという許可をもらったので、田中さんにお願いしようと思ったんです。」

正直、とてもありがたくうれしい話でした。
でも、前職で取引させてもらったお客様なので、前職の会社へ依頼するのが筋です。


「内山さん、そう仰ってくださるのはとても嬉しいですし、ありがたいのですが、〇〇〇会社さんは
僕の前職の会社のお客様なので、そちらにご相談いただくのが筋なんです。黙って僕もお受けする訳にはいきません。」


「そうなんですか~。僕は田中さんにお願いしたかったんですが・・。」
「お気持ちはとても嬉しいです。ほんとありがとうございます。前職の会社に連絡してみてください。」

と、正直なところお引き受けしたい気持ちは山々でしたが、筋は通さないといけません。


ところが後日、また内山さんから電話がかかってきました。
「田中さんの言うとおり、元のご勤務先に相談したんですが、やっぱり田中さんにお願いできますか?」

びっくりして事情を聞くと、
僕が仲介したこの〇〇〇会社さんの物件は、鹿児島市外にある為、管轄外なので受けられないとのことのようです。


〇〇〇会社さんは、鹿児島でも指折りの優良企業。そして、借主さんも全国展開している大手会社。

物件への距離の課題はあるにせよ、経験上管理をしたからといってトラブルに発展する可能性なんてまったくと言っていいほどありませんでした。


お世話になったお客様が目の前で困っていて、しかもたった1人の不動産会社にこんな優良企業が依頼してくれるなんて。これはお受けしない訳にはいきません。


話は変わりますが僕は、独立直後、一念発起して経営者向けのセミナーに参加しました。
サラリーマン思考を一掃して、経営者思考を身につけないといけないという焦りに駆られて(汗)。
会場は東京。セミナー費用は2日間で20万円する高額セミナーです。


その時の講師が言っていたことが頭に浮かびました。


「(ビジネス上)人間関係はお互いの信頼口座間のお金のやり取りです。相手の信頼口座に
自分がどれだけ残高を残せられるか?信頼口座の残高=絆(きずな)なんですよ。」
「なので、売上が上がるというのは、相手の信頼口座からお金を引き出すことなんです。」


そのセミナーでは、瞬間的に大きく売上を伸ばして有頂天になる会社が、しばらくしたら倒産してしまう事例を出して、この信頼口座の話をしてくれました。

「売上が上がった=信頼残高が減った」という事実に気づかないで、相手の信頼口座に預金する努力を忘れる会社が傾いていくと。



セミナーを受けたときは、信頼をお金に換算することにちょっと違和感を覚えました。
でも、今回の一件で、僕は内山さんの信頼口座に僕の残高があったんだということを実感したのです。



僕は、内山さんに
「独立したばかりの僕に、御社のような優良企業さんが物件を預けていただけるなんて光栄です。」
と、管理を受けることにしました。


管理を受けたので売上は上がりますが、これで内山さんの信頼口座の残高は減ることになります。
「また、内山さんの信頼口座に預金していかなくては!」と、嬉しい反面、身が引き締まった瞬間でした。

『信頼口座』・・・あなたは、この考え方をどう思いますか?

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